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主に霖之助、東方香霖堂関係のSSを書いているサイトです。

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かよいづま













がらがらがらっ

大きな音を立てて、私は部屋の窓を開け放つ。

東の空から追いかけられるように傾く満月は、森の木々に線を描く陽射しと交わる様に、森の木々を照らしている。

口から漏れ出した白い息は、ゆっくりと白み始めた空に溶けて、形も残らない。

窓の外の世界を眺めながら、私は里一番の道具屋に住まう夫婦の事を、考えていた。

いい夫婦の日、と呼ばれた昨日は、里の夫婦が水入らずの時を過ごしたらしい。

おそらくはあの夫妻も、ゆっくり酒を酌み交わしたのだろうか。

里に出るたび、ちらりと目にする二人の顔が頭に浮かんだ。

…戻るつもりのない場所に思いを馳せても仕方ない。

何時もの魔女服に着替え、首にマフラーを巻くと、あの古道具屋へ一直線。

箒の先に、秋の味覚満載のバスケットを携えて。





からん、からん

「おーい、香霖。いるかー?」

店のドアを開いて声を掛けたが、何の返事も返っては来ない。

アイツの起きる時間は特に決まっていないが、遅くとも店の開店時間までには準備を整えているはずだ。

様子を見に部屋中を廻るが、何処にも居ない。

腕組みしながら縁側への障子を見ると、大きな影が有った。

手間を掛けさせたのだ、たたき起こしてやろうと大声で叫ぶ。

「香霖、起きろっ!!…って、あれ?」

「…んぐぐぐぐ…はな…せ…」

「んふふ…もう一杯のめー!!…うごっ」

「んにゅ…おとうさん…ぷふー」

目の前に転がって居たのは、大量の酒瓶と料理皿。

呻き声を上げながら逃げようとする香霖と、腕を反対方向へ掴んだまま離さない萃香、胸板に抱きついて眠るお空の寝姿。

「…ほほう、これはこれは、いいご身分で…」

「ん…魔理沙、か…済まない、引き剥がすのを手伝っ」

物音に気づいたか、目の前の馬鹿が瞼を擦る。

だが遅い。遅すぎた。

「一遍死んでこいッ!!」

「がはっ!?」

…つい手近に有った酒瓶でぶん殴ってしまった。

うつ伏せになって倒れたが、死にはしない筈だ。

転がったお盆を手に取ると、瓶やら皿やら、手近な物を纏めて台所へ。

暫くの間、ガチャガチャと食器の奏でる音だけが心地良く響いていた。






「飲み会…ねぇ」

「僕はお空を一晩預かるだけのつもりだったんだが…全く」

「うにゅ…あたまおもい…」

「すかー…むにゃ…」

事情をこうして聞いてはみたが、肝心の主犯がこの光景では、暫く話は聞けそうにない。

まぁ、この呑んだくれが絡んだ時点で仕方ない気もするけど…

「済まないな、片付けさせて」

「別に良いぜ。どうせ料理するのに皿が足りなかったしな」

「おりょうりするの?」

「ああ、秋も終わりだからな。最後の旬を使い切るってことで、どうだ?」

「ふむ、お腹も空いていたし、丁度良いな。甘えさせて貰おう。」

「わーい!!ごはんっ、ごはんっ!!」

「さて、そうと決まれば準備だぜ。手伝い宜しくー」

「はーい!!」

「はしゃぎ過ぎるなよー?」

そう言って香霖は、近くに有ったタオルケットを萃香に掛けてやった。

私はエプロンを渡して、台所へと二人で向かう。






「んー…良く寝たねぇ…ん?この匂いは…」

「やっとお目覚めか。飯だぜ」

「おはよう、萃香」

「おはよー!!」

大きく欠伸をしながら、萃香は掛かっていたタオルを側に畳む。

「こりゃ旨そうだ…なんか悪いねぇ」

「別に良いさ。冷めないうちに喰おうぜ。ほら、器」

そう言って手を香霖に差し出す。

「ああ、ありがとう」

「まだかなーまだかなー」

「あいよ、次の分」

待ちきれない、といった様子のお空から器を受け取ると、鍋の中身を持ってやる。

「ふーむ…」

「ん?どうした萃香、そんなにジロジロ見て」

マジマジと私を眺める萃香の視線が気になったので尋ねると、

「…やっぱりアンタ、通い妻に見えるわ」

「!?」

「かよいづま?」

「まぁ確かに家事はしてたが…」

「い、いきなり何を」

突拍子も無い振りでしどろもどろになっていると、

「ほほう、そうやって慌てるって事は、脈ア」

「すーいーかー?」

これ以上は言わせまいと、慌てて萃香の口を塞ぐ。

「どうした?」

「な、何でもないぜ!!」

「うにゅ?」

「き、気にすんな!!ほら、食べようぜ!?」

「いただきまーす!!」

「あ、ああ。頂きます。」

先に食べさせている間に、小さな声で問い詰める。

「いきなり何なんだよ!!脅かしやがって…」

「あれー?いいのかなー?その調子じゃ誰かに持って行かれるよー?」

「くそ、あからさまに棒読みしやがって…」

「なんか、おかあさんがふたりいるみたいだね!!」

「ん?おかあさん?」

「きのうのよる、いってたよ?こんばんは、あたしがおかあさんだって」

「へぇ、じゃあお父さんは誰なんだよ」

「りんのすけ!!りんのすけが、おとうさん!!」

「…」

「…やばっ」

「ま、魔理沙…?」

「さ、さーてアタシはそろそろお暇」

がしっ

咄嗟に萃香の肩を掴む。

「ま、魔理沙、悪かったって!!だからほら、その」

「すーいーかー?」

「魔理沙、落ち着」

ぷつん

「表へ出ろォォォ!!」

「ちょ、ま、待て」

「誰が待つかぁ!!吹き飛べェェェェェッ!!」

無我夢中で八卦炉を向ける。

轟音と閃光。

同時に魔法の森から、極太の光の奔流が空へ向けて解き放たれた。





その後、お空を迎えにやって来た地霊殿一行が見たものは。

居住区画がごっそり抉られた香霖堂に、項垂れた様子の香霖。

『おかあさん』という単語を聞く度に震え上がるお空と、最上級の謝罪表現を続ける私の姿だったらしい。

因みに元凶の呑んだくれは、後日その様子を隠れて見ていたとして袋叩きにしておいた。

その時の萃香の言い訳は、こんな感じ。

「あれだけ既成事実があるなら、さっさとくっつけば良いのに」

余計なお世話だ!!

全く…だから苦労してるっていうのに、もう。

…夫婦なぁ。

…駄目だ、キッカケが掴める気がしない。

…地道に行くしか無いよな。

「…おし、今日も行くぞ!!…今日こそは!!」

…我ながら単純だとは思う。

…でも、伝えたいから。

…一緒に居たい、って思いは、絶対。

「行ってきます!!」

今日も私は、空を駆ける。

いつか、アイツの隣で、一緒に笑って居られる様に。



…笑って居られますように。

誰かに祈りながら私は、一気に加速した。

迷いや悩みごと、引き剥がすように。

ずーっと、真っ直ぐ。

すぐ横で、ほんの少し欠けた月が、静かに私を見つめていた。







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  • Date : 2010-11-24 (Wed)
  • Category : SS
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