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こどもごころ、おとなごころ(2)

非常にお待たせしました。

遅筆な私を待っていて下さる方が居るだけで本当に幸せです。


それでは、どうぞ。



追記。
最後の部分を修正しました。







ぴしゃり、ぴしゃり。

ぽとぽと、ぽと。

つー、とっ、とっ、とっ。

辺りに響き渡る、数多の水音達。

長屋の屋根から滴る雫が、軒下の木桶に吸い込まれる様に、落ちていく。

無数に漂う靄たちは日差しを浴びながら、木の葉を伝う朝露へと姿を次第に変え、集う。

前日までの雨で開催が危ぶまれた夏祭りだったが、どうやら幻想郷の神々達も気を遣った様だ。

おかげで、今朝から生ぬるい空気の中を歩いてくる羽目になってしまった。

里の中心部からは、神輿や奉納太鼓の用意をする男衆と、屋台で仕込みを始めた威勢の良い女衆の声が、一歩、また一歩と近づくたびに、大きく響いている。

祭りへの期待感を膨らませながら、声のする方へと歩む。

僕の隣で静々と歩いているのは、朝顔の柄で彩られた浴衣を纏う、一人の少女。

幼いながらに一族を纏め上げる稗田家当主、稗田阿求その人である。

なぜ彼女と一緒に歩いているか、と周囲の人間は勘繰るだろうが、今回の其れは、少々可笑しな理由だったのである。







僕が稗田家との縁を結んだのは、修行時代まで遡る。

親父さんの使いで商品を卸しに向かうことも多かったため、この少女が生まれる前からの付き合いが、この娘の家にはあった。

誕生の祝宴の際、一度腕に抱かせてもらったこともあるが、この娘は三つを数えるかどうかの辺りで、寺子屋に通う子供と遜色ない思考をしていたように思う。

成長しても余り外に出ず、家の本を読みふけっているような生活をしていた。

同年代の子供たちともあまり話そうとしないため、商いのついでにと夫妻に頼まれて、たまに会っては世間話をする程度の仲であったのだが。

今日は個人的な用件ではなく、あくまでも稗田家の誘い、として呼ばれたのである。



送られた手紙の文面を要約すれば、こうだ。

「一度も赴いた事が無いため、夏祭りに行ってみたいのだが、周囲に子供扱いされるのが嫌なので付き合え」

いや、十分子供だろう。とその場で突っ込みを入れたのは伏せている。

夏祭りの案内、までなら解らなくも無い。

だが、子供扱い云々に関してはどうなのか。

いくら御阿礼の子が短命だからとはいえ、十を数えたばかりの幼子が大人として扱われることは、まず無い。

いくら先代から記憶を受け継いでいるとは言え、彼女自身の人生経験の量が足りないので、大抵の大人はそう考えるだろう。

そもそも自分は大人だと言い張っている時点で、十分子供じみている気がするのだが。

しかし、名のある稗田家の客賓として持て成される名目で呼ばれた以上、無碍に断るわけにもいかず、こうして態々出向いた次第である。

・・・もし断れば、後々この子が編纂する歴史書に何を書かれるか解った物ではないし。




まあそんな訳で、先程から僕らが歩いているのは、屋台や出店等が出揃う大通りへと繋がった、長屋通りの一角。 

折角なので、人通りが多くなる前に、気になっていたことを尋ねてみた。

「阿求、ひとつ訊いても良いかい?」

「なんでしょう?」

「君が夏祭りの案内を必要としていたのは解るが、何も僕に頼む必要は無いんじゃあないのか」

「なるほど、つまり霖之助さんは私の事がお嫌いだ、と」

「どうしてそうなる。他に適任な人物が居なかったのか、と訊いたんだ。」

「例えば?」

「君の家の者とか。当主の頼みを断る者は居ないだろうに」

「家の者たちは、私に気を遣いますから。それに、祭りの期間中は、皆忙しいのです。博霊や里の歴史資料の展示で」

「展示にそこまで人手が要ると思えないが。それにそこまで多くの人間は見に来ないだろう。基本的に平和なのだし」

「年一回ペースで異変が起きるのに何もしないわけが無いでしょう。新たな資料を創り、後世に残す。立派な事業でしょう」

「そんなに書くことが有るのかい?」

「その他にも、博霊の社務所にある台帳と照らし合わせて情報の齟齬が無い様に確認を取ったり」

「霊夢が書類をしっかり残しているとは思えないんだが」

「そのせいで余計に手間が掛かるのですよ。こちらの文献に合わせて向こうの台帳を書かねばならない始末です」

「・・・あの子はちゃんと仕事をしているのだろうか」

「していないからこうして苦労しているのです。 もっとちゃんとして欲しいものですが・・・」

「全くだ。ところで・・・」

「はい?」

歩みを止めて、彼女が振り向く。

「先程からずっと敬語だが、いつもの口調に戻さないのかい?」

溜息を吐くと、疲れたように

「仕方ありませんよ。里の皆は私の事を、稗田家の当主として見ています。下手に砕けた振舞いをして、悪い印象を抱かれては困るのです」

「敬語を止めてくれと頼んだのは君じゃあ無いか」

「人が居ない処でなら、ですよ。何時もそうじゃありませんか」

「いや、てっきり人前でも砕けた物言いをしたいのかと思ってね。それで今回の」

「違います」

きっぱりと否定された。

「私が今回お呼びしたのは、日頃お世話になっているあなたを持て成す為。変なことを申されないで下さい」

「あくまで名目は、だろう。僕は案内として呼ばれたのだから」

「ですから、持て成される素振りをしつつ、夏祭りの案内をして欲しい、と」

「随分と無茶な注文だ。ほかの人間に頼」

「無理と言うなら、歴史書のあなたに関するページは私の好きなように書かせていただきます。文字通り」

「・・・また随分と、面倒を請け負った物だ」

「安い買い物でしょう。夏祭りの案内だけで、あなたのページの信憑性が保障されるのですから」

・・・まったく。

「・・・頼むから、嘘は書かないでくれよ」

「ご安心を。事実に基づいて書かせて頂きますので。天狗なんかと一緒にしないで下さい」

「・・・はぁ。それで、一体どこから巡るんだい?」

「そうですね・・・どれも捨て難いですが、先ずは・・・」

そう言うと、目に付いた屋台を指差して

「あれにしましょう。祭りと言えば、先ずはこれ。と教わったもので」

「あれを?・・・誰にだい」

「妖怪の賢者に」

・・・随分と子供舌な賢者だ。

「ほら、早く行きますよ!!」

手を掴まれたまま、引っ張られて行く。

まったく、当主らしい振舞いは何処へやら。

懐から蝦蟇口を取り出して、りんご飴の屋台に向かう。

この表情を普段から見せれば良いのに、などと考えながら。




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  • Date : 2010-06-09 (Wed)
  • Category : SS
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