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こどもごころ、おとなごころ(1)

次のリクエストは、うぃんぐさんから頂いた阿霖です。

KENZENにひぎぃ言わせようとした結果がこれだよ!!


では、どうぞ。









もう、何回目だろう。


「んっ、んうっ、ん・・・は、ぁ・・・」

これを、口に含むのは。

「・・・・・・く・・・ふっ・・・」

口から、声が漏れ出す。

「んくっ・・・あぁ・・・」

駄目だ、抑えきれない。

そう思った途端、

「堪えろ。そのまま飲み込むんだ」

傍に立つ店主に、制される。

無理を言うな、と声を上げようとした。

しかし、口のナカに残る、熱くてドロドロしたモノが、私の言の葉を阻む。

どう足掻こうと、これを飲み干さない限り、私に自由は無いのだ。

数分前から、嫌というほど流し込まれた、この液体を。

周囲には、大勢の観衆の目。

皆が、私の姿を嘗める様に見つめる。

逃げることは、出来ない。

もう、どうにでもなれ。

意を決して、喉を通らせる。

液体が、絡みつくように。

喉を、胃を、体中を隅々まで侵しているのが、判る。

判ってしまう、自分が嫌だ。

もうこんな物は、二度と飲みたくない。

そう思いながら、机に向かって倒れ伏す。

周囲の者達から、歓声と拍手が響く。

虚ろな目で、前を見やる。

そこに置かれて居たのは、










焼け付く様な熱さを孕んだ






大量の







お汁粉だった。






「こどもごころ、おとなごころ」






じとじとと湿った空気。

襦袢が肌に張り付く。

顔から滴る汗が、書物に触れぬよう、慎重に汗を拭う。

開かれた障子からは、庭からの風が、ゆっくりと吹き込んできた。

机に座して書を読み耽っている私の名は、稗田阿求。

この稗田家の当主にして、先祖の代から転生を繰り返す御阿礼の子の、九代目でもある。

まだこの世に生を受けて十年程だが、これでも思考は立派な大人だと自負している。

先代の御阿礼から引き継いだ記憶は、幻想郷縁起の執筆に必要な知識のみ。

それだけでも私の思考回路が、他の同年代の子供以上の発達を見せるには、十分な量だった。

つまり私は、大人なのである。

別に、家の者や周囲の大人たちに子供子供言われるのが気に食わないわけではない。

断じて。

「阿求様、失礼いたします」

「どうぞ、いらっしゃい」

招き入れた女中が、盆に菓子と茶を載せて部屋に入る。

「こちらをお召し上がりくださいませ。香霖堂様とのお時間が近づきましたら、お呼び致します」

「判りました。下がって宜しいです」

置いていった盆には、つやつやと光を放つ餡蜜と、よく冷えた麦茶。

早速白玉を掬い、口へと運ぶ。

「ん~~~!!」

思わず顔が緩んでしまうが、気に留めない。

冷えた蜜と白玉を求め、夢中で口に運び続ける。

「申し訳ありません、阿求様。お伝えし忘れた事が・・・」

「ツッ・・・!!」

慌てて居住まいを正す。

「どっ、どうしました?」

首をかしげたが、直ぐに続けて

「お召し物を用意して置きましたので、時間までにはお着替えの方を・・・」

「わ、わかりました。さがりなさい」

「はい、それでは・・・」

そう言って、女中は廊下を歩いて行った。

「・・・ふう」

・・・危ないところだった。

あんな姿を見られて、もしそれが世間に広まれば、私は子供扱いされてしまう。

確かに、私だって年相応の楽しみが有る。

お八つに好きな菓子が出れば夢中になるし、

外に出て、同年代の子供たちと一緒に遊びたい気持ちもある。

だが、それを見た世間の人たちはどう感じるだろう。

あの御阿礼の子が、などと思われて当然だ。

世間の皆は、私が今までの御阿礼の記憶を全て引き継いでいると勘違いしている。

「稗田阿求は生まれた時から大人である」と皆が考える限り、私が子供らしい振る舞いをするわけにはいかないのだ。

「・・・しかたない、よね」

目の前の餡蜜に別れを告げ、私は着替えをするべく、部屋を後にした。










ぴしゃり。

泥水が撥ねる。

「む・・・」

辺りを包む靄の中で、声がする。

顔を顰めた男は、魔法の森に居を構える店主。

「動かない古道具屋」との二つ名を持つ、森近霖之助。

彼は今、稗田の屋敷の前に居た。

「やれやれ、どうしてまた僕が・・・」

懐から手紙を取り出すと、手紙の送り主に向けて呟く。

「わざわざ僕を呼びつける理由ねぇ・・・他に人なら居るだろうに」

「あら、ご不満でしたか?」

呼ばれた方に向くと、浴衣を着込んだ一人の少女。

髪をポニーテールに結わえ、背には団扇を差した、夏の装い。

「本日はお招き頂いて真に有難う御座います、稗田様」

「こちらこそ、誘いに応じて頂き、感謝しております、香霖堂様。それと一つ、お願いがあります」

「何でしょう?」

「・・・本日は、敬語などは止めにいたしましょう。祭りを、楽しんでいたいのです」

「・・・分かりました。それでは・・・」

「行こうか、阿求」

「・・・はい」

差し出された手を取り、少女は歩き出す。

遠くで響く祭囃子と、喧騒の混ざった、里へ向けて。




彼女にとって、生まれて初めての夏祭りは、こうして始まった。
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  • Date : 2010-05-27 (Thu)
  • Category : SS
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