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主に霖之助、東方香霖堂関係のSSを書いているサイトです。

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【一時間(で終わらなかった)SS】陽光の憂鬱

それは厳冬間近、長雨が降り続く、とある日の話。





かりかり、かりかり

「………む?」

外の様子も気に止めず、カウンターで朝から書に没頭していた男は、微かな音によって世界に引き戻された。

「………?」

辺りを見渡す。

しかし、近くに気配は無い。

降り続く雨のせいか、と断じて、書の世界へと戻ろうとする矢先。

…かりかり、かりかり

「!!………」

…やはり、音は聴こえる。

「…はぁ」

気だるそうに腰を上げた店主は、のそりのそりと、店の奥へ向かう。

歩みを止めたのは、彼の綴る歴史書、という名の日記が丁寧に仕舞ってある書斎。

すーっ、とすっ

襖を静かに開け放つ、が、其処に姿は無い。

そう、姿は。

「…玄関から入ったら如何ですか?お客様」

声が響いた途端、不意に部屋の隅が、揺らいだ。

「………えへへ…バレちゃった」

「全く…泥棒と間違えるじゃないか。いい加減にしたらどうだい」

「お断り。悪戯は妖精の義務だもの」

「僕の店には一銭の利が無い。例の物、要らないと言うなら別に構わないんだが?」

「わ、わかった、解ったってば!!…もう」

「とりあえず、此方に来なさい。寒いだろうに、この部屋は」

「うん…ちょっとだけ。ありがとう、霖之助…」

「解ったなら、次は普通に入って来てくれよ、サニー」

「えへへ…」





サニーをカウンター前に通すと、近くに立ててあった椅子を拡げ、座る様に促す。

基本的に死なないとは言え、やはり妖精も寒いものは寒いのだろう。

手渡してやった毛布に身を包むと、書斎から抱えてきた僕の歴史書を読み始めた。

彼女は最近、歴史書を読みに度々店を訪れている。

何でも調べたい事が在るというので、 僕の歴史書以外にも、様々な外の書物を貸し与えていた。

勿論対価は頂いているが。
歴史書で見つけた誤字脱字、染みや汚れなど。

そういった部分の報告と、修繕の簡単な手伝い等だ。
書物の媒体が紙で在る以上、どうしても必要になる作業なため、此方としてもそこそこ助かっている。

まあやらせるのは精々、差し換えたページの糊付けや、表紙の貼り付け程度だが。

そんな訳で、僕は次に彼女に手伝わせる作業を考えつつ、窓の外を眺めていた。

「…はぁ…」

不意に彼女が、溜め息を吐く。

「妖精がらしくないね。悩み事かい?」

「うん…調べても解んないから、ちょっと…ね」

「…気になる言い方だな」

「だって聞いて欲しいんだもの。聞きたい?」

「…まぁ、気にはなるな」

「んじゃ、…聞いて」

「…ああ」

「あたしね…何で冬になるのかな、って…考えてたの」

「…ほう」

「冬の間っていつも、雪が降って、空が曇って…元気が出ないの」

「そうだったのか?」

「だってあたし、陽の光の妖精じゃない?たまには晴れたりもするけど…すぐにまた、光が無くなっちゃう」

「確かにな」

「だから…どうやったら、冬が来なくなるのかな、って」

「…冬が嫌いなのかい?」
「ううん、嫌いじゃないの。ただ…どうやったら、冬でも陽の光を浴びれるのかなって」

「それで冬を消す、か…それは少し短慮じゃないかな?」

「…え?」

「雲が出ていても、陽光は雲を貫き、地上へと降り注ぐ。ただ、一筋辺りの力が弱いだけだよ」

「…どうすれば良いのか、解るの?」

「ああ、と言うか、君の力を使えば簡単に出来る事さ」

「本当に!?」

「対価さえ用意すれば、必要な物は揃えて上げよう。ここは、道具屋だよ」

「解った!!色々持ってくるね!!」

毛布を椅子に投げ出すと、森へ向けて勢い良く飛んで行った。

「…やれやれ。さて…準備と行こうか」




「ちょっと、サニー!!いきなり何なのよもう!!」

「また何か変な物でも見つけたの?」

「良いから、はやくっ!!」

森から飛び出してきた、三つの影。

先頭のサニーが、待ちきれんばかりに勢い良くドアを開ける。

「ん、もう着いたのか。少し待ってくれ…」

「…なんでまた、香霖堂に?」

「さぁ?」

「まだかな~、まだかな~!!」

「…良し、これで良いだろう。外に出てくれるかい」

「はーい!!」

「…ペンダント…かな?」

「何に使うんだろ…」

戸惑いながら、遅れて外に出る二人。

広い庭に出ていたサニー達に近付いて行くと、霖之助の手元に在ったペンダントが、激しく輝き出した。

「え、ちょっと、何!?」

「あ、あたしに訊かないでよ!!」

次の瞬間。

霖之助が宙に向けて放り投げたペンダントは、輝く欠片の尾を曳きながら、雲を突き抜けて行った。

そしてその筋を辿り、地上に降り注ぐ光の軌跡。

「…ほえー…」

「…おおう…」

呆ける二人を横目に、霖之助はサニーに促す。

「さ、後は集めるだけだ。試してみてくれ」

「…凄い!!お日様の光だ!!」

「鏡の光を反射する、という概念を混ぜ込んでみた。君は地上に居ながらにして、雲の上の光を手にした訳だ」

「凄い凄い!!ありがとう、霖之助!!」

「「…良いなー…」」

「…対価が在るなら、君達の分も用意するが?」

「良いの!?」

「やったー!!」


「やれやれ…忙しい事だ」
そこでふと、袖口を引くサニーに気付いた。

「…なんだい?」

しゃがみ込んで、目線を合わせると、

「…んっ」

頬に感じた、柔らかな感触。

「えと…これじゃ…ダメ?」

「…まぁ、良いさ。またの御贔屓を、お客様。」

「えへへ…」




冬の分厚い雲を引き裂いて、大地に聳える光の柱。

その中で妖精は今日も、日課のお昼寝を満喫していた。

優しい輝きの、小さなペンダントを握り締めて。

傍らで眠りこける、優しい優しい店主と一緒に。
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  • Date : 2010-10-17 (Sun)
  • Category : SS
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